「農地」の相続や処分に関する大事なこと

当サイトでは農地の相続や処分に関して、分かりやすく初心者レベルの予備知識から紹介しています。実家が農家であり、そろそろ相続に関して考え始めている等、対象の方に少しでも参考になればと思います

農地の相続は知らないと損をする相続してから後悔する、といった事例がたくさんあります。農地法農地の転用などの予備知識はとても大事なことです。今のうちに少しでも知識を身に付けておきましょう

 

農地は農地法という法律により相続や処分が難しくなる?!

親や親類から農地を相続することになった・・・

●農地早く売れるかなぁ~
●相続税払うの大変だなぁ~(農業しないのに・・)
●固定資産税とか毎年払うのやだなぁ~
●早く処分しないとなぁ~

など、特に家業(農業)を引き継がない場合、いろいろ考えてしまいますね

実は農地は農地法という法律により、処分売却・転用・寄付・名義人変更など)が難しい場合があります(農地の状況により大違いがあります)
誰にも相談せず、安易に農地を相続し、後で「やっぱり他の相続人に譲りたい」と思ったとしても、簡単に変更できない・処分も出来ない、という事になりかねません

一般的な宅地と同じように考えていると、後々面倒なことになったりしますので、出来るだけ農地に関する事前の予備知識をしっかり持ち、まずは農地に関する専門家(不動産会社・弁護士や税理士)へ相談するのが得策かと思います

 

農地の処分が難しい理由①「農地のまま売却する」

原則として、農地は一定の要件を満たした農家にしか売却出来ないので、買い手の農家を見つけるのは簡単ではありません。また、その市町村の「農業委員会」に売却の許可をもらい、その後複雑な手続きが必要となります

勿論ですが、農業委員会の売却の許可が下りないこともありますし、農業委員会を通さずに、自分の農地だからと言って勝手に農地の売却をすることも出来ません

 

農地の処分が難しい理由②「農地以外の用途に転用」

農地から宅地へ用途の転用をすることを、農地の転用(農地転用)といいます。主に住宅地として販売する、駐車場として賃貸収入を得ること等を目的に、農地転用が行われます

勿論、農地の転用にも農業委員会の許可が必要です農地の場所や地域により条件があり、その条件を満たさない場合は転用の許可は下りません。農地の相続や転用を考えている方は、早めに専門家へ相談し、事前の調査をしておく事をおススメします

いざ相続となった時、相続するのか?しないのか?一旦相続して農地転用し、売却すればいいと思っていても許可が下りない、相続放棄した方が得(損が少ない)等、色々と調査、熟考出来る時間が無いと誤った結論を出してしまいがちです

余裕を持って早めの相談、調査は必要!

※ちなみに相続放棄できるのは基本的に「相続開始を知ってから3か月以内」という期限が定められています。農地を相続しようか、転用できるのか?調査し迷っている間に相続放棄の期限が過ぎてしまうケースもありますので、何度も申し上げますが余裕を持って早めの相談や調査を行いましょう~

 

農地の処分が難しい理由③「農業委員会」が許さない!?

※ここは当サイトの製作者の私見が多く含まれています

皆さんもご存知の通り、近年日本の農業離れは後継者不足従事者の高齢化問題低収入など、諸問題により年々深刻化しています。それにより国の食料自給率も年々下がり輸入に頼ってばかりです

昨今のエネルギー問題や円高も影響して、輸入商品や物流コストの高騰などが原因で、食料品の値段がドンドン上がっています。こういった状況からも「食料の供給源としての農地」は簡単に用途変更や売却ができないように、農業委員会が厳しく取り締まっていると思われます

今後、仮に国や自治体が「農業のススメ」を押し出した対策を講じたとしても、今度は田畑が足りない!?という問題が起こってしまっては、何のための対策だったのか!?となってしまいます

こうした背景もあり、農地の用途変更や売却には、特に「農作物を育てるのに良い条件の農地」に関して、用途変更や売却は簡単ではないと思われます

 

ならば、相続放棄で解決!?

相続予定の農地を調査したら、売却も転用も出来ない・・・

それならば、農地を相続放棄すればいいのでは!?と考えてしまう方も少なくないようですが、基本的に農地だけを相続放棄することは出来ません
※但し、近年法改正により条件付きで出来るようになる予定です。相続で取得した不要な土地を国に返せる「相続土地国庫帰属法」が2021年4月28日に国会で成立しました

 

農地だけを相続放棄したい!

相続とはすべての相続財産を相続人達で相続する事です。なので相続放棄をするという事は、すべての相続財産に関する一切の権利義務を放棄するという事になります

よって、相続人の都合で「農地」だけ要らない、相続しない、という事は基本的には出来ず、相続人は相続する財産全てを相続するか、しないか、という判断で選択しなければなりません

※但し、近年法改正により条件付きで出来るようになる予定です。相続で取得した不要な土地を国に返せる「相続土地国庫帰属法」が2021年4月28日に国会で成立しました

相続土地国庫帰属法成立の背景

相続土地とは「相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得したものが法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰させることについての承認を求めることができる制度=(相続土地国庫帰属制度)」です

もっと、簡単に言いますと「相続した土地を、国が所有者からお金をもらって引き受ける」という新しい制度です(※相続人は国にお金を払って、無償で農地を差し出し権利を放棄するという事です)

相続土地国庫帰属法が成立した背景には、「相続した不要な土地を手放したい」というニーズの増加があるようです。手放したい理由として、相続によって望まない土地を取得したことで、所有者の金銭的な負担が増加した事が原因のようです

なのでこれが続くのなら、国にお金を払ってでもその不要な農地を手放して、相続人はスッキリしたいのです

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また相続放棄などにより、農地の管理不全を招くケースも増加しているようです
(※すべての相続人が相続放棄をして、農地を相続する人が誰もいなくなった場合には、代わりに管理する人が決まるまでの間、最後に相続放棄した元相続人が管理義務を負うことになります)

、その最後に相続放棄した元相続人が農地の管理義務を怠り、長年ほったらかしにしたまま亡くなり、所有者不明な土地=厄介な土地として、今問題になっています

所有者不明な土地」は、国や自治体が処分したくても出来ない厄介な土地です。現にそういった土地が増え問題になってきたため、そういう土地を増やさない対策として相続土地国庫帰属法が成立したと言ってもいいでしょう

 

納税猶予の特例で税を軽減!?

例えば「田畑などの農地」を、そのまま受け継ぎ(相続し)農業を継続する場合、相続税の優遇納税猶予の特例による一部の納税額の免除)を活用でき、収める税金が軽くなります

納税猶予の特例とは・・・

農業の継続や一定の条件を満たした場合に、農地を相続した・または贈与された相続人に対して、農地にかかる相続税または贈与税の納税を猶予する制度になります

ちなみに「納税猶予」とは、納税の期日が先延ばしになるのではなく、一定額以外の部分についての納税額が猶予される制度ですそして農業を続けることで、相続時に猶予された納税額のほとんどが免除されます

 

農地の処分(売却・転用・継続)それとも国庫帰属!?

最後に、相続している農地、相続する予定の農地、今後どう処分するかは、全て相続人であるあなた次第です。つまり、あなたが本当にどうしたいのか?をじっくりと考えればいいのです

家族と話し合うのも良し、友人に相談するのもいいでしょう。何となく相続している(これから相続する)という農地は、実は近所で農業をしている方が、欲しいと思っているかも知れません

そういった希望があるのなら売却という方法もあります。しかし、それは聞いてみないと知りえません。実はそういったニーズを知っている不動産屋に聞いてみる(相談してみる)のが、第一に良いかと思います

 

次に、具体的に農地転用して宅地にできるのかその費用は?など詳しく知るには、不動産屋、弁護士、会計士、行政書士に尋ねると良いでしょう(但し、不動産屋以外は(特に弁護士)相談料が必要なケースもあると思いますので、ここも気軽に相談できる不動産屋がベストかも知れませんね

後は、こんな世の中だから農業でも始めるかー!と一念発起して農家に転職するのもよい考えだと思います。そんな時もいろいろと手続きは必要になりますので、会計士や行政書士などに相談は必要ですね

まずは多くの意見を聞き、調査をして、あなたにとってのベストな結果を見つけましょう~

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